●JAniCAシンポジウム2009 アフターレポート

2009年5月22日(金曜日)16:30〜 東京大学本郷キャンパス工学部2号館221号講義室にて。

 開場のほぼ1時間30分前の午後2時30分、スタッフ全員が集合し、講演班と受付班とに分かれてミーティングを行った。 スタッフ全員緊張の面持ちの中、予定より10分前の午後4時に受付開始。 事前に想定していたよりも遥かに多くの方々に来場いただいたお陰で受付開始20分でほぼ満席になり、 やむをえず立ち見をお願いした方も出るほど。

 開始時間を5分ほど遅らせて、監査理事の桶田より開会の宣言。 ここに、アニメ業界史上最大規模の、業界調査報告シンポジウムが幕を開けた。

 代表の芦田豊雄より開会のご挨拶。「日本人はみなアニメを描ける」という一億総アニメーター説を交え、 これからアニメ業界を盛り上げるのはアニメーターであることを説く。
 次に桶田より基調報告。JAniCAの概要と実態調査の目的を述べ、ご来場の方へご理解を求める。
 続いて運営委員の大坪より実態調査の概要報告。主な対象、実施期間、回答の概要などを説明。 リアルな数字の連続に、多くの方が熱心にメモをとり、途中で大きくうなずく人の影が見えた。
 怒涛の概要報告の後、いよいよ山場のパネルディスカッションへ。 桶田をコーディネーターとし、副代表の神村幸子、東京大学の浜野保樹教授、 制作関係者の竹内孝次氏を迎え、現場の現状を率直に話し合う。 神村がアニメーターの休みや収入が低いと訴えたところ、浜野教授からは 「お笑い芸人の収入は1公演500円、また経営者と労働者の格差がアメリカなどと比べて小さい」 との反証があげられ、竹内氏からは「単純な単価上げは難しい」との悩みが出される場面も。 会場にいる有識者からのコメントなども交え、白熱の議論のうちに終了。
 最後にJAniCA会員の今敏(こん さとし)より閉会のご挨拶。 アニメーターは「混沌を紙という四角いフレームの上に秩序として構築しなおす」という話から、 「実態調査はアニメ業界の現状という混沌を、数字という秩序に構築しなおした」と評価。
 予定より15分延長して閉会。熱気冷めやらぬ会場では、歓談を交わす業界関係者の姿があちこちで見られた。

 今回のシンポジウムは、「アニメーター自身による調査を行い、報告をした」 ということそのものに意義があるのだが、これは環境改善に向けたスタートラインに やっと立ったということも意味している。ここから全てが始まるのである。

主な参加者

・アニメーター及び演出:67名

・制作会社等の業界関係団体及び法人(50音順、敬称略)
有限責任中間法人日本動画協会ほか44社

・報道機関等:(50音順、敬称略)
アイティメディア、 朝日新聞、 NHK、 角川書店(ニュータイプ編集部)、 共同通信社、 講談社(アフタヌーン編集部)、 徳間書店(アニメージュ編集部)、 日経BPコンサルティング、 日本経済新聞社、等

・官公庁:
知的財産戦略本部(リンクは「首相官邸」)、 経済産業省、 文化庁、 東京都産業労働局