「日本アニメーター・演出協会」記者会見(その4)
柳谷:先ほど雷鳥社という小さい出版社だと言いましたが、ややアニメや声優などに関係のある書籍も出しておりますます。実は学校運営もしておりまして、それはきっかけを話すと長くなるんで止めますが、声優さんとか俳優さんの養成所もやっている学校運営の会社の代表者でもあります。で、JAniCAの話を聞いた時に、僕は非常に面白いなと。特に、芦田代表が今おっしゃったように、いろいろ組んでいきたいと。ホームページに書かれていた事に非常に興味を持って、今日ここに参加をいたしました。私どももですね、大きな会社だったら、収益の3%を協会に寄付するというような事も考えてたところですけど、ウチの会社も時給1000円いかないレベルで働いている、非常に中小零細企業ですので、まぁ収益が上がらないと難しいですけども、僕は非常にこの協会に興味を持ちましてですね、出版であっても、学校であっても、一緒に何かやっていく事はできないか。敷居を上げてですね、「お前みたいな小さいトコは相手にしないよ」と思ってもらいたくない。一緒に何かできませんか、と。うちには学校運営の施設もある、管理的なスタッフもいる。そのまま利用すれば、あまり経費がかからないで、一緒に何かできる可能性がある、という事をぜひアピールさせていただきたい。その大きな企業とか、あるいは国とかだけではなくですね、小さい会社とも真摯な話し合いを持ってもらう、パートナーシップを取っていただける可能性があるのかという事を、ちょっと伺いたいところです。いかがでしょうか?

芦田:了解しました。当然です。JAniCAとしては、雷鳥社さんがそう言われても、断る状況では無いです(笑)。その姿勢はずっと続けていきたいと。それから、オタクくんたち。オタクくんたちの応援が欲しいなと思ってます。で、JAniCAが成功した時に、やっぱり「オタクはイヤ」だとか、そういう風にならないように、我々は気をつけなくちゃいけないなと思ってます。当然、お話し合いも持って来てくれれば。お役に立てたら立ちたいなと思ってます。

平井:ありがとうございました。では、他のメディアの方で、ご質問ございます方。あ、マイクをお持ちいたします。少々お待ち下さいませ。

福島:きゃらびぃの福島と申します。よろしくお願いします。浜野さんに質問なんですけど、アメリカのアニメーター団体の会員でいらっしゃるという事なんですが、現状をかえりみると、いかがですか? 日本のアニメーターたちの現状というのは、アメリカの方と比べて。

浜野:アメリカのアニメーターのユニオンは最低料金を決めていて、会社とかプロダクションとユニオンの間で労働協約を交わしています。それで、ユニオン以外のアニメーターを使ったり、それ以下の賃金でやったら本当に張られて、映画が作れなくなる。その事が製作費高騰の原因の一つになっていて、つい最近まで、アメリカのアニメーションは劇場用で一本百億円かかると言われていました。こんない高額になると多様な表現はできません。そういった事態を回避するために、ハリウッドから映画がどんどん逃げています。それをランナウェイプロダクション(制作の逃走)って言いますが、そういった事が起こっています。さらに、ヨーロッパの非常に腕のいいアニメーターが、季節労働者みたいにアメリカにやってきて、低い賃金で短期的に働いて、帰国しています。そういう人たちをアニメータージプシーと呼ぶそうです。アメリカに税金も払わないで、逃げてしまうため、政府も対策を講じようとしています。アメリカのやり方が正しいわけではなく、悪いところも学ばないといけないいと思います。フランスには「アンテルミッタン・デュ・スペクタクル」という制度があり、プロのアニメーターとしての認定された人は、仕事やらなくても月に約1200ユーロくらい国から支給されます。確かにアニメーターを守る制度ですが、労働意欲を殺ぐことも確かです。東京大学の「ものづくり経営研究センター」の研究では、日本の労働者にとっても最も望ましい報酬は、賃金ではなく、次の仕事、それも若干難しい仕事であることが分かっています。日本の経営形態には悪いところはいっぱいあるかもしれませんが、欧米のやり方が良いというわけでもありません。以上です。

平井:ありがとうございました。時間の方も限られて参りましたので、あと一点ほど、ご質問をお受けしたいと思います。どなたか、はい、ご質問。

大塩:市民メディアインターネット新聞JANJANの記者、大塩です。あの、お金の事に関して、結局は広告代理店がいっぱい取っていく、っていう問題があると思うんですけど、代理店を介在させない方法って考えないんですか?

芦田:きっとあると思いますよ。

大塩:どういった方法で?

芦田:産地直送ですね(笑)。つまり、JAniCAに直接、お百姓がいるわけです。もう少し流通形態がシンプルになっていく事はありえるでしょう。たとえばこの中に、学校関係の方が何人かおられますが、今まで「講師が欲しい」なんていう時に、どっかのプロダクションを経て、下請けプロダクションに話が行って、それで講師を見つけだすという事になってますが、それが産地直送になれば、JAniCAストレートっていう感じになりますよね。他の仕事もそういう事になると思います。

平井:では、質疑応答の方、こちらで閉めさせて頂きます。それでは、応援団・浜野保樹様より、最後、締めのお言葉を。えー、短めにお願いできれば幸いです(笑)。

浜野:私はちょっと、シナリオ作家協会の方も手伝った事があるんですが、シナリオ作家協会の赤坂の一等地にあるビルは、まぁ映画界が良かったからなんですけど、自分達でみんなシナリオタダで書いてそれを作協が売りまわって建てたビルなんですよね。その次にやった事が、シナリオの学校の設立なんですね。ですからここには才能のある方がたくさんおられるんで、自分達の才能をお金に替えてやってくっていうシステムは、私は充分、日本でもありえると思うんで、ぜひ、がんばって下さい。シナリオ作協よりもさらに広いファンがたくさんいらっしゃいますから、ぜひ、この会が実りある会となって、長く続いていく事を期待します。本当に今日はおめでとうございます(拍手)。

平井:本当にありがとうございました。では最後に、協会の芦田代表の挨拶で、記者会見のまとめとさせて頂きます。芦田代表、どうぞお願いいたします。

芦田:アニメブームと言われてから40数年。つまり「鉄腕アトム」ですが。その前からもアニメーションはあったわけですが、事実上は鉄腕アトムだろうと。隣に宇田川さんとか、金山さんとかいらっしゃいますが、我々はアトム世代と呼ばれてる人間なんですが、その辺が一つの大きな塊として、いわゆる団塊としてあるわけなんですよ。その辺の年齢の人たちってのは、後輩に対して、やっぱり責任があるだろうと。なんとか道だけでも作って、という思いがまずあります。それから、「ああやったら無理だろうこうやったら無理だろう」と、これから起こってくるいろんな苦労とかを、先に考えてしまうと何もやる気しなくなるんで。今、動いてる人間は全員軽薄ですから。目先の心配はしない(笑)。「ま、動いてみてからだよ」と、そういう傾向がありますんで。40数年間できなかった事が、今初めてできかかってるという事ですかね、これは我々が後先考えないおかげであると、そういう風に思ってます。つまりですね、今、言える事は、ああしたいこうしたいという事であって、まだ何も決まってないんですよ。どっからどういう風にお金が入ってくるみたいな事はなんにも決まってないです。そういう事を先に考えるとできない。今日の記者会見もありえなかっただろうと。どうぞ皆さん、応援してください。経理はガラス張りにしますんで。私が協会の金使ってヒルズに住んだり、そういう事はしませんから(笑)。ひとつこれからよろしくお願いいたします。ありがとうございました(拍手)。

平井:では、これをもちまして「日本アニメーター・演出協会」JAniCAの、設立発表並びに記者会見を終了させて頂きます。本日はご多忙の中、ご来場頂きまことにありがとうございました。僭越ながら、私こと平井理子が、協会の立場より数々のアナウンスを申し上げましたこと、ご了解頂きますようお願い申し上げます。説明、その他で失礼の無いよう努めたつもりではありますが、おめでたい席に免じてなにとぞお許し下さいませ。ではこれでいったんお開きとさせて頂きます。ありがとうございました。

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