第3回「人体構造美術解析画法講座」アフターレポート
7月22日(日)に武蔵野市民会館にて行われました、人体構造美術解析画法講座の模様です。
身体に触る・描き込む様子
午後1時30分〜4時30分
今回は、講師をyuさんにお願いし、筋肉を鍛えている男性モデルの身体を使い、「人体の筋肉」についての講座をお願いしました。
観て、触って、スケッチ、モデルさんの身体に描き込むという、初めての試みも取り入れました。
理学療法士としての、豊富な知識と経験からの、分かり易い講義で、質問にも丁寧に答えてもらえたと、好評でした。
また、参加者への学習課題も提示するなど、深みのある講座になっていました。
先月、JAniCA総会と重なるのを避け一ヶ月空いた事もあってか、キャンセルが多く参加者が少なかったのは残念です。
文責・高見政良
今回はとても大きな括りであったため、下記に絞って講座を行いました。
<テーマ>
・筋収縮の種類によって起こる、筋肉の見え方の変化を知る
<目的>
・筋肉の特徴を把握
・筋肉の収縮の種類を理解する
・筋収縮によって筋肉に実際起こる形や位置の変化を知る
<目的の理由>
・受講生から「どうしたら力を入れている時と入れていない時の差を絵で出せるか?」という質問をいただいていた
・アニメーションにおける筋肉については理解が必須であると考えたため
<方法>
・座学
・モデルの筋肉に触れる
・モデルの身体に筋肉の形を書き込む
・スケッチ
<講座概要>
最初に筋肉の形、性質といった概要を簡単に説明し、全員の理解度を概ね確認したところで今回のテーマを決めました。
筋肉は骨についており、骨同士が引き寄せられることによって関節の動きが出てきます。ただ何もなく関節を曲げた状態の筋肉と、抵抗がかかった時の筋肉では見え方が随分異なってくるというところに注目してもらいました。
筋肉の収縮様式(運動様式)には等張性収縮、等尺性収縮、遠心性収縮、求心性収縮などに分類され、それぞれの運動について筋肉の動き方や見え方に変化があります。
今回は分かりやすいように上肢(とりわけ上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋)に注目しました。モデルには静止位、通常の肘屈曲位、抵抗を加えた状態の肘屈曲位と3つのポーズを順番にとってもらいました。注目すべきは主動作筋(腕を曲げる場合なら上腕二頭筋)がどのように見え方が変化するのか。膨隆の様子、どちらの方向に偏位していくか。また、その時拮抗筋(この場合は上腕三頭筋)はどのように変化しているのか。
参加者にはこれらの視点を持って観察を行ってもらい、スケッチ。次に触る。最後にはモデルの身体に筋肉の状態を書き込んでもらいました。
今回モデルの身体に書くという事を初めてしてもらったと思いますが、一般的な解剖図と比較してモデルの筋肉の付いている位置(見える位置)が随分違ったという事がまず大きな発見でした。「ここに、この筋肉があるはず」と思っていても関節のアライメントによって思っていたそれと違う位置に膨隆がみられることもよくあることです。
次にその書いた筋肉を動かしてもらい、その変化を観察。最も外側にある皮膚と、内側の筋肉にどれぐらいの差異が出るのかも見てもらいました。
<総括>
通常、筋肉が働くときは主に主動作筋に注目が行きがちですが、筋収縮の種類によっては拮抗筋にとても目立った変化があると理解して頂けたかと思います。
これは繰り返し観察することや、ただ見ているだけよりも五感を使わないと理解できない範囲であり、今後も筋肉を理解する上でこの視点はこれからも持ち続けてほしいと願います。
今回の講座を通して、受講生には何をしている時の状態であるのかを明らかにするためには、どの筋肉がどのように収縮しているかを知ることが重要であるということを学んでもらいました。具体的には、肘を屈曲しているポーズでも動作によって筋肉の収縮の仕方が違うということです。
実際に描く際にはこの知識があるとないとでは周辺の筋肉・関節の捉え方が大きく変わってくるはずです。
ただこれには最低限解剖学の知識が必要であり、身体の一般的な構造を受講生自身が勉強する必要があると思いました。
また受講生が筋肉の名前を知っているだけでなく、その筋肉の起始停止を知っていたら今回の講座の内容はより頭の中でイメージしやすかったのかなとも感じました。
次回の男女差についての講座では今回触れなかった下肢についても詳しく説明して行けたらと思っています。
講師 美術モデル/理学療法士yu
参加者の内訳;無料正会員9名、賛助会員3名、一般5名