「日本アニメーター・演出協会」記者会見その2
平井:ありがとうございました。では続きまして、WEBアニメスタイル様よりニ点、
ご質問がございます。一点づつご紹介いたします。「これから一年以内に、具体的に手を
つける活動について教えて下さい。マニフェストではありませんが、短期的な達成目標の
ようなものがあったら聞かせて頂けると有難いです」とのご質問、頂戴しております。
椚山:はい、事務局の方からお答えします。マニフェストというのは、
たぶんこれから作る事になると思いますが、まず、お金がありません。我々の短期的な目標としては、
一年後もこの活動に携わって続けていくという事になると思います。お金を集める事。
これはもちろん寄付も募りたいですし、助成も受けられるものなら受ける、
そのためのきちんとした受け皿を作っていくっていう事ですね。今、浜野先生がおっしゃった通り、
健全な圧力団体になっていくために、ちゃんとした活動をしなくてはならない。
その中には皆さんアニメーターのきちんとした名簿を作って、
将来、保険なども含めたいろんなサポートが出来るような体制を作る。システムが必要です。
当然それを動かしていく事務所も具体的に必要ですし、それほど多くの人は雇いませんが、
何人かの人間は365日、そこで皆さんのサポートをしていく、という状況まで持っていく事が必要です。
その後に、JAniCAとしての社会的な活動、それは経済的活動もボランティアも含めて、
教育とかですね、何かを行っていけるのか。あともう一つ、我々としては、
NPOのような公的な団体にきちんとしていく、というのが当面の目標です。
平井:ありがとうございました。続きまして、WEBアニメスタイル様よりもう一点、
「アニメファンが『購入』という形で支援しやすい、グッズ、例えばTシャツ等や冊子などの制作の
ご予定はありますか」とのご質問です。こちらも事務局の方から。
椚山:やりたいですね。ただ物を作るにはお金が必要です。当然、先立つ物が無いと、
原型も作れないし金型も彫れないわけですけども、ある程度のグッズは揃えて、
協会のPRと収益になるようにもっていきたいですし、その為には多少の権利の話を版権元と
する必要がありますが。また小冊子のようなものも、今ウェブ上にいくつか上がってますが、
印刷物も必要だという事であれば、これを作っていくと。
平井:ありがとうございます。では続きまして、朝日新聞様よりこちらも二点、
ご質問を頂戴しております。一点づつご紹介いたします。「当面の、そして長期的な活動資金は
どのように調達するのか」とのご質問でございます。事務局の方よりこちらもお答え頂きます。
椚山:そうですね。お金は今、ゼロよりマイナスから始まっています。
基本的に我々の持ち出しから始めてますから。これをなんとか、少し活動ができるところまで
持っていかなくてはなりません。これはアニメーターの協会ですので、最終的な目標は皆さんの生活が安定して、
その中からきちんと会費を払って頂ける、というのが一番健全かなと思っています。
ただ、その前の段階でですね、基本的にアニメで儲かっている会社はたくさんあるわけでして、
先程浜野先生がおっしゃられたように、例えば海外から版権収入というのは、おそらく、
1000億円以上毎年業界に入ってくるのがあるわけですけど、これが止まっちゃってるという事ですので、
その辺の企業からきちんとしたご寄付を頂く。それからなんらかの形で、先程のシステム作りとか、
受け皿を整備して、助成金を頂く。というような事で、とりあえず立ち上げたと思ってます。
平井:ありがとうございます。続きまして、こちらも朝日新聞様からのご質問です。
「アニメ業界で働く人の福利厚生・待遇改善を図るのは、本来は映演労連など労働組合がやるべきことだと思うが、
既存の組合と共闘するのか。それとも労働運動とは一線を画すのか」とのご質問です。
これは高橋さんよりお願いいたします。
高橋:私はもともとですね、先程もお話したように、今回の「日本アニメーター・演出協会」
の活動とは別個に、以前から思ってた事がありまして、それは、クリエイターのための保険の説明、
あるいは福利厚生の説明という事を、啓蒙活動とも言えるし、解説かもしれないんですけども、
やった方がいいんじゃないか、と思ってまして、非常にささやかなではあるんですけども、
漫画家さんも含めて、漫画動画、動画漫画の健康保険組合みたいなものの考えてみたらどうか、
というようなことをインターネットでコラム的に連載してて、百人くらい今、
僕のところに賛同してくれる人がいるんですけども、いろいろと聞いていきますと、
健康保険は会社とかは社会保険、あるいは個人では国民健康保険の二つしかないみたいに思ってる、
そういう認識のクリエイターの方が多い。実際には団体保険という物がありまして、
日本映画監督協会の人に聞いてみますと「監督協会として別な団体保険に入ってます」と。
「こういう待遇」ですと。プロデューサーも同じところです。あるいは文芸美術健康保険組合ですね。
そういう風にいろんな保険があって、団体保険で全部待遇が違ったり、ある団体は非常に大きな財源を持ってたり、
国家行政から若干の支援を受けているので、非常に健康保険料も安いと。個人の負担が少なくて済む。
そういうものもあるとわかってきまして。こういう事を勉強しよう、という形で各方面にお話をさせていただいてます。
今の質問の中に、私、アニメーションの記事編集、雑誌構成に記事編集とか企画とかの会社をやっておりますので、
経営者でもあるわけなんですけども「国に対して改善要求を図るのは、
本来は映労労連のような労働組合がやるべき事だ」と言うのはですね、僕は必ずしもそうは思ってませんので。
クリエーターや働く人間の立場というのが向上するのは、本来はまず経営者がやるべき事だと考えています。
組合ではなく経営者がまずやる事。次にクリエイターの先輩がやるべき事ですね。
そこでその「労使」という考え方ではなくてですね、クリエーターで先輩となった方々が、
若い人たちを引っ張り上げるためにはどうしたらいいかという事を考えるべきで、より年上でより経験のある方が、
若い人たちに教えるとか、そういう事を思ってますので、そんなわけで僕は参加させて頂いてます。
こういうところで如何でしょうか? もし引き続き質問があればよろしく。
あと「労働組合を一線を画すか」という事につきましては、これは代表の芦田さんの方からお話をしてください。
芦田:えー、非常にデリケートなんですが、ケースバイケースですね。もう少し、突っ込みますか?
記者:できれば。
芦田:日本に今、アニメーターと演出合わせて4500人いるって言われてるわけですよ。
で、JAniCAに4500人全部入らなくてもいいな、と思ってます。入ってくるからには、
意志をもって入ってきてほしい。そういう風に思っている。意志というのは、JAniCAの究極的な目標、
その為の意志です。そうであれば、常にアニメーションの質の向上と、それから自分の質の向上ですね、
それを目指す人。そういう人たちをJAniCAは待ちます。ですから、結果的に2000人、
1000人しかいないという事になっても、これはしょうがないだろうと思います。
そういうところが、ひょっとしたら思想的には今まであった労働組合のスタイルとは違うかもしれないです。
そこからくみとって頂きたいな、と思います。えー、ちょっとヤバい事を言っちゃいましたかね(苦笑)。
平井:ありがとうございます。では続きまして事前に受付いたしましたご質問が、
あともう3点ございますので、それを紹介させて頂きます。しんぶん赤旗様より
「『実情を正しく認知』とは具体的には何でしょうか?」とのご質問です。
こちらは、高橋さんにお願いいたします。
高橋:私の方でプレス案内のお手伝いをしまして、プレスリリースを出す時に、
先程もお話ししました事を書きました。実際のアニメーターさんたちクリエーターさんたち、
あと漫画家さんとかイラストレーターさんたちなんですけれども、この世界で働く人間、日本の場合ですね、
保険法という形で決められている。未来のために今のために保険に入りましょう、
保険料払いましょうと。教育ですね、こういう事になりますという教育。
これは今の社会制度そのものが、少しギクシャクしている、巷間言われているように、
お金を本来的に預かるべき人が、不正をしてたりですね、そういう事があったもんですから、
ちょうどいい機会であるし、みんなで学ぼうではないかと。まずそこですね。それから待遇等々で
「こういう保険はこういう保険料だ」というような事を、学ぼうって考えています。
実情はそういったところです。
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