■アニタス神戸イベントレポート

「アニタス神戸」イベントレポート
「関西発-アニメ文化の推進と観光化宣言」


レポーター:JAniCA応援団 藤中元博 (2010.3.7)


アニメ上映会:「三国志」

 『横山光輝 三国志』の一部を1時間で上映。


講演会


講師 芦田豊雄

 壇上に登場した芦田氏は、新人アニメーター・学生に向けてのメッセージと、 アニメ技術向上についてのプレゼンテーションを行いました。 タイトルの「アニメ監督の仕事」については、その話をしてもつまらないからということで、 まったく触れませんでした^^。
 新人アニメーター向けの内容でしたが、スケッチブックを使った、誰でも楽しめる講演でした。

日本のアニメーションについて

 日本のアニメは、右から左、上から下まである、民話、バイオレンス、思想的にも右から左、エロい物もある。 それらを否定してはいけない。そういったものの中から、面白いものが出てくる。
 諸外国が国策としてアニメに力を入れているが、一つの思想、哲学、宗教しか認めない地域、国では、 自由な発想が出てこない。国による弾圧ではなく、そういうふうに育っているから出てこない。
 日本でアニメーションにかかわっている人間として思うことは、日本のアニメーションは永遠でないといけない。 そして、日本のアニメはまだまだ、伸びしろがある。やりつくしたわけでなく、やってないことがまだまだある。

エンターテイメントについて

 日本人のコンプレックスとして、いい作品を作ろうとすればするほど、文学的になっていく。 言ってしまえば、芥川賞に近づいていく(これについては、大いに意見を言って欲しいし、議論して欲しい)。 つまり、日本人のメンタリティにどんどん近づいていくのですが、日本人の精神性を深く追求しても、 海外の人には何一つ面白くない。
 ここにいる若い人は、優れた娯楽作品を作っていかなければならない。 現場の我々が、まだまだ、それをやれていない。 無思想でもかまわないから、2、3時間見ている人をひきつける作品を作らなければならない。 世界には字幕スーパーが読めない、識字できない人が何十億人もいる。 その人たちが楽しめて、よく考えれば内容もあるような作品を作らなければならない。 エンターテイメントって何なんだろうということを、 アニメ業界として深く話し合っていかなければならない。

技術の半分は知識

 技術を知識というもので補完することで、劇的に向上する。子供が紙の上で手をなぞって、 中指が長いことを発見したら、次の日から中指を長く描く。
 その後、スケッチブックに描いた、拳、棒を握る手、幼児を例にとって、 知識で絵が劇的に変わる例を解説されました。


見学会・アニメーター体験

 オープンして最初はお客さんも少なく、ゆったりとしていましたが、 次第に大量のお客さんが押し寄せ、たいへんな活況でした。




 アニメーター体験は大阪の作画スタジオ「イングレッサ」の スタッフによる完全監修。作監の方まで来られていたので、 どんなご要望にもお応えできる体制! 手厚すぎます!
 教材は、中級者向けに美形キャラ、上級者向けに複雑なメカ(ロボット)。 どっちも難しいんですけど、これ。私も体験してみました! 最初は細かいところも気にしながら描いていたのですが、どんどんずれて、 最後はめちゃくちゃな感じで仕上がりました。やっぱり、プロは凄いと再確認。 「出来上がった後は充実感がありますよ!」ということでしたが、 いや、本当に充実感と、かなりの疲労感が…
 中には作品を持ち込んで来られる方や、向こうではスーツ姿の方が来て、 いきなり面接が始まっていました (さすがに、アポはとっておられたと思いますが^^)。 アニメーター志望の方が、現場の方の話を熱心に聴いておられる姿もちらほら。
 地元のちびっ子からお年寄り、プロ志望の方、TVのスタッフなど、多くの方がご来場されて、大盛況でした。


体験用に用意していた3席では足りず、スタッフの机も使うことに!


プロのデモンストレーション
あたりまえですが、線がまったく違います。


神戸芸術工科大学のファッションデザイン学科の方が、
着ぐるみで商店街を練り歩き宣伝。


専門学校から団体で会社見学に。
レイアウトの束を開いて、熱心に見ておられました。