■アニタス神戸イベントレポート

「アニタス神戸」イベントレポート
「関西発-アニメ文化の推進と観光化宣言」


レポーター:JAniCA応援団 藤中元博 (2010.3.14)


講演会


講師 追崎史敏
「ケロロのキャラクターデザイナーがやってくる!」
公開中:「劇場版ケロロ軍曹・キャラクターデザインの秘密であります!」


 TVシリーズから最新映画までの設定画を実際に見ながら、 キャラクターデザインの仕事について講演されました。 キャラクターデザインや、イースター島のロケについて、 かなり細かく興味深いお話が多くありましたが、 抜粋でレポートさせていただきます。

TVのキャラクターについて

 キャラクターの設計図がキャラクターデザインです。 アニメーションは動くので、いろんな角度からのデザインを描きますが、 可愛くするために実際の立体ではなく、あえてウソを描いています。 リアルな絵を描くのではなく、ケロロの場合はマンガに近い絵を描いています。

 ファミリー向けのアニメなので、原作にあるちょっとHな描写は、 デザイン段階から抑えています。 ただ、お母さんは胸が大きいのが特徴なので、 テレビ局になんとかならないか打診したところ、 谷間の線を直せばOKということになりました。 何気ないキャラクターですが、実はいろんな意図がある上で成立しています。

 ケロロは実在しない生き物なので、 こう描いちゃうとケロロじゃなくなっちゃうというルールがたくさんあります。 目や口の書き方にもいろんなルールがあります。 ケロロは可愛くないといけないけど、 スタッフにそれを伝えるのが難しかったというこです。

映画のキャラクターについて

 原作のある映画なので、主人公のデザインは原作に近づけたいという自分の気持ちと、 原作者から幼くしてくださいという要望があって、 前の映画版よりだいぶ幼くしました。 ケロロと親近感のわくデザインになったと思います。 夏美ちゃんも原作に近づけていますが、 あまり“むちむち”としないように気をつけています。 ファミリー向けということで、子供が気に入る絵を考えたときに、 直線的な絵ではなく、丸っぽい線を心がけました。 夏美ちゃんの頭のハイライトも丸くしています。 見る人は誰も気づかないと思いますが、 デザインする側はそういう細かいところまで気を使っています。

 TV版の3000枚に比べ、映画版は3万4000枚ぐらい動画を描いています。 膨大な作業量を少しでも楽にするため、なるだけ描きやすい絵を描くように気をつけ、 線を減らしてキャラクターを作るようにしました。 そこがキャラクターデザインの楽しいところであるし、大変なところです。 原作のマンガをトレースすればいいやというわけではなく、 かといってアニメに都合がいいように描きかえればいいやというわけでもありません。

イースター島ロケについて

 映画の舞台、イースター島取材の様子を、写真を見ながら説明されました。 イースター島で見た模様や、昔の衣装、木彫りに人形などが、 実際にキャラクターやコスチュームに活かされていました。 3Dで作るミサイルや、背景で描くものも、世界観の統一のためにデザインをしているそうです。

キャラクターデザインについて

 本編のフィルムに直接手を加える仕事ではないので、 言いたいことは設定画に細かく描きます。 人によっては、細かすぎてわからないと言われることもありますが、 キャラクターデザイン画に細かく書いてあるので、違うものが上がってくると、 直してくださいと言うことができます。 つまり、デザイナーはキャラクターについてそこまで細かくイメージできていないといけないし、 それができていないと、設定画としては足りないものになります。 また、キャラクターデザインの仕事は、絵コンテと並行することが多く、 絵コンテでキャラが変わっている場合もあります。 最初になかったことに対応するのもデザイナーの仕事です。

 難しい話ばかりしてきましたが、キャラクターデザインのことが少しでもわかってもらえると嬉しいです。 そうそうできる仕事ではない、また、ある程度選ばれた人にしかできないので、 プロの方はがんばって目指してみてください。


アニメ上映会:キャラ丸君とドク丸君がやってくる


 西東京市のアニメ制作会社「エクラアニマル」による自主制作アニメ 『キャラ丸君とドク丸君がやってくる』が上映されました。 10分ぐらの短編アニメ2本で、子供向けの内容です。 その後、着ぐるみによる、踊りのショーがありました。 エクラアニマルでは、保育園などで、この自主制作アニメ上映と、 着ぐるみのショーを出張で行っているそうです。 「西東京市では知られているけど、他地域ではまだまだなので、 キャラ丸君とドク丸君をよろしく」 とのこと。アニメ、ショーともに子供向けのもので、 今回大人のお客さんがほとんどだったため、 ちょっとシュール?な感じでした。 おそらく、保育園では“ものすごい”盛り上がると思われます。

 エクラアニマルの活動は、「もっと子供に向けてアニメコンテンツを発信したい」、 「地元に根付いた活動をしたい」というスピリットに根ざしたものだと思われます。 子供向けアニメを多く手がけてきたエクラアニマルならではの取り組みですね。


見学会・アニメーター体験

 今回は午前と午後の2部構成です。 先週と同じく「イングレッサ」による監修です。

 午前の部は10時からで、私は10分ほど遅れて行ったのですが、 下の写真のとおり、既に多くの方が席に着いて体験されていました。 出勤か!(笑)  今回来られた方は、真剣にアニメーターへの道を考えている方が多かったようで、 遠くは、高知や和歌山から来られていました。 作品持ち込みの方もおられ、作画監督からアドバイスをもらっていました。

まるで仕事場のような状況。


毎回違うTV局が取材に来ます。


追崎史敏氏が、絵コンテや原画など、
貴重な資料を大量に持ってきてくれました。
どうですか〜、お客さん!


体験のお客さんがひととおりはけた時間に、
「イングレッサ」のアニメーターが動画作業をスタート!?
じつは、次回向けの「お手本動画」描いているのでした。


この方々はリピーターです! 熱いです!